アサリの島流し 31日目 - 白地図の色
31日目、3月9日は誕生日でした。
見知らぬ土地に来て1カ月目。しかも見知らぬ島。まだ知らない人やことばかりだけど、良い天気の素晴らしい太陽が私にとって最高の日だった。
おまけに日食!
それだけで幸せと思ってた私に、思いもよらぬ1日は待っていた。
今日もたくさんある職場の様々な宛先の郵便物の中に、ひとつだけ私宛の封書があった。
昼休みに部屋に戻ってから開けると、折られて小さくなっていたが拡げたらどでかい紙が一枚だけ入っていた。
どうやらどこかの詳細な地図…
あれ…これ母島だ!
送り主は某ギタリスト先輩からなのだが、地図以外に何も入ってないし地図にも何も書いていない。まるでうちに来る仕事のお客さんが使っていそうな、中々に専門的な白い地図…。
なるほどというくらい先輩らしい封書、しかし小さい頃から地図好きな私にとってかなりの代物である。
前日のおがさわら丸5時間遅れのおかげで、誕生日ちょうどに届いたのも何かの縁である。
普通に仕事するだけの日と思ってたが、ちょっとだけ特別な気分になって外へ出た。
すると、至近距離でトントン足音とピィピィ声が…
洗濯物の上に世界でここにしかいない固有種が…
いっつもカメラ向けると逃げるのに…
今日は数匹ずっと私の周りをうろちょろしてるハハジマメグロ。
ちょうどさっきお客さんに「ハハジマメグロはどこに行ったら見れますか⁈」と聞かれて案内したけど…私の部屋の前にいるし…。
散歩ではよく見かけるし、カラスバトはよく遊びにくるけど、珍しい訪問者になんだか嬉しくなった。
スマホは電池がなくなりそうなくらい通知をくれてる。
まだそんなに親しい人もいなくてちょっと寂しいけど、いい日じゃないか。
いつも通り夜まで働いたら、缶ビールでも飲むかなあ。
と思って淡々と働いた夜…。
先日一緒に飲んだ人から「これから飲むけど一緒にどう?」と連絡が。
星空の素晴らしいこの先っぽで飲みました。
(夜は真っ暗なので昼の写真!)
たどり着いて眩しい懐中電灯を消して飲んでいると、街灯がない夜空はどんどん星が増えてく。(目が慣れていくんだと思う)
ひとり、またひとり来て、星空がしゃんしゃんと鳴る中、踊ったりめいめい好きずきに座りながら飲むビールはほんとにうまい。
誕生日おめでとう
って人間の声で聞いて、あっ、そうか!
ありがたい事にひとりじゃなかった!
と思った。
思えば去年もa.s.a.nと私のasariバンド一緒にツアー中で、ホームを離れた福岡の天神で迎えたけど、とっても楽しかったの思い出したよ。
ゆっくりSNSを見ると、高円寺や東京、それから世界のいろんなとこにいる友達、ほんとに山程のメッセージをくれてて。
良い日を過ごさせてもらって、ほんとにありがとうございます。
朝届いた白地図は、まるで始まったばかりの私の島ライフの様だった。これからいろんな景色の色が載っていくのだろうな。
と思ったけど、私の中の島の地図には少しだけもう色が着きはじめていたよ。