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アサリの島流し紀行

東京・高円寺から貯金をするために小笠原諸島へ住み込みバイトに行ったバンドマンの日記。都会の超夜型ライブハウスマンが1000kmはなれた船でしかいけない島で人間に戻っていくドキュメントでもあります。Twitter→@asari309 asari official WEB→http://asariweb.net/

アサリの島流し 125日目 - 1000キロのグッドバイ

日々の感じたこと

仕事を上がって寝こけている間にすごいスコールがあったらしい。入港で届いたダンボールがぐちゃぐちゃで破れるほどの。

雨はほんと突然降って、夜になって上がった。

 

私はふと思い立って、以前から乳房山で雨上がりに見れると話に聞く、透明なオカモノアラガイというカタツムリの写真を絵に描いた。

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最近、絵をイメージ通りに描くためには、根気次第だと思うようになった。いや、音を作るのも、味を決めるのも、掃除をするのも、人に伝えるのも、人生をイメージして生きることも。

 

ある程度の回数を積むと、器用不器用はあっても線を引くことはできるようになる。その一本一本をイメージ通り描いていくのは難しそうだけど、どれだけ飽きて投げ出さないで描いていけるか、イメージを細かく観察し続けてそこからズレたら修正を重ねていけるか。

作りたいその形を実現できるまでその自分に付き合えるか。技量がある、とは、それをより時間かけずにできて、たくさんのものを生み出せることのように思う。

 

観察を追求すること。もうこのくらいでいいかな、という自分に、自分のイメージが打ち勝つこと。

 

この頃、そんなことを日々よく考える。

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この島に私が惹かれたのには幾つかの理由があるが、ひとつには、恐らく日本で最も不便そうだったから、というのがある。だから物が手に入らないとか、多少の不便も楽しめていた。

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しかしこの島に来て、憧れだけではない不便を実感させられることがあった。それは人との別れ、もっといえば突然の別れ、の時である。

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この島に来て二度目だった。一度目は、以前から話にたくさん聞いていたけどやっと昨年初めてお会いして、一緒に過ごしてきたわけではないが自分にとってとても存在が大きかった先輩。そして二度目は、一緒に演奏もしたし、幾度も飲んで人生の奥深くを語ったりした大事な友達。

 

ここで突然の出来事があっても、運良く船のスケジュールが出港前な時以外はどうやっても間に合わない。だって、一番早く内地に行けても翌週になる。

便利な世の中になって感じにくくなっているけど、この島では人間って本来あまりに無力なのだと実感する。

 

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交通の発達した場所(普通の日本国内はなんだかんだみんなそうだろうけど)では、行きたい場所に大体1日で行けて、会いたいと思ったらどうにか会いに行ける。

でも、ここからは船が動かないとまったく不可能だ。その瞬間乗れて船が動くとして、最速竹芝まで25時間半+乗り換え時間だ。

 

会いたいと思ったらすぐ出発しないとならない。すぐ計画しないとならない。そして、天気が良いことを祈らないとならない。

 

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まるで当たり前に電車が毎日時刻どおりきて、飛行機は何百キロもすぐ飛び越え、ガソリンは大体どこでも買えるから車に乗って向かった先でもなんとかなって、当たり前に思いついたら電話で話せて、メールや写真、映像なんかがリアルタイムにやってきて。私はうっかりしてた。うっかり人は大変無力で小さい生物ということを忘れかけていた。

 

会えなくなるということの意味を、これでもかと知らされた。

 

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その全部がそうだとしても、突然に不可能を告げられるのはあまりにつらい。根気次第で、繰り返し観察して線を描けばたどり着けるイメージだったなら。

私は永遠にイメージを目にすることができないまま絵を描くことになる。

 

どうか、わがままな願いではありますが、その可能性がなくなるこんな出来事が、私の大事に思うすべての人に、もう起きないことを願う。

 

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