アサリの島流し 230日目 - 9月のこと
忙しさに押し流されている間に2つのお祭りがあったりして、書くことはとてもある。そんな時に…ついに恐れていたことが起きてしまった。
スマートフォンのバッテリーが天寿を全うした模様。
写真のバックアップは…5月の運動会以降がまだとれておらず…。
あれをこれをと溜め込んでいたものが取り出せないし、島での携帯破損はなんて言ったって復旧に時間がかかる。…手続き…そして配送、がね。
腹を据えて諦めるしかないのか…。
この頃に起きたことを、今日は文字だけで書きます。
取り出すか何かして調達で来たら少しづつ書くとして…。
あの父島3泊4日から帰還して、すぐ待っていたのは納涼祭。
台風で延期を経て、9/3に行われた。
返還祭のときと同じように脇浜で花火や盆踊り…で夏休みも終わり戻ってきた島の人たちがにぎやかに集まったのだが…突然の豪雨。
結果豪雨直前のビール早飲み競争がメインイベントの様になり…大人たち踊れず。
ただ、満員電車の様に雨宿りするのはちょっと珍しくておもしろかった。
それから9月はたくさんのお客さんが来た。
8月は台風もあって…9月こそ夏休み本番?!と言わんばかりの忙しさ。
ありがたいことではあるが、宿業の私にとっては日々が猛スピードで駆け抜ける。
もうすぐ引き上げでいなくなる仲間もいて、それはつまり私が一番長いスタッフになってしまうということ。
(といってもほかのメンバーもみんな1か月づつしか違わないが…)
長期で内地に行く人も会社内にかわるがわるいて、なんだか背中に背負ったものが途端に重くなった日々だった。
けれど隙間の時間をみつけては、楽しいこともまたたくさんあった。
島に来て一番酔っ払ったワイン会とか。持ち寄ったワインフルボトル5本に一升瓶1本が空いて、久々に高円寺の明け方くらいには酔っぱらった。無事帰れててほっとしているくらい。(記憶はダイジェスト)
職場のオーナー漁師の旦那さん、親方のバースデーも。ちらしずしのケーキを作ったのは6月の女子会以来かな。それからスタッフで飲んだのも楽しかった。たまにしかできないけど、仕事仲間と飲むのはリフレッシュになっていい。
なんといっても大きかったのはカヌー大会。
これの写真がないのはほんとに…痛い…。
(って当日も楽しくってたくさん撮れてるわけじゃなけど)
あの台風の3泊4日をリベンジできたのだから!!
父島からたくさんの方が来てくれて、昼間はアウトリガーで熱いレース。
夜は後夜祭で野外ライブパーティ。その後はアフターパーティでclub timeも夜遅くまで続いた。
私はライブでJAMMINのリベンジ!
父島・母島のメンバーが入り混じったフリーセッションに参加。
楽器は母島の友達に借りたキーボード。
Sweet home chicago、 Rock me babyやJohnny B Goodeとか…小さな子供から年配の人までたくさんの島の人が踊ってくれて。こんな素敵なRock 'n' Rollは初めてだと思った。
忘れられないことがあった。
小学生くらいの女の子が私の真ん前にじっと仁王立ちの様に立って演奏中見ている。
とにかくじっと見ているので、なんかライブハウスでギタリストが気になる対バンのギタリストの前にこんな感じで見てたりするよな…と思っていた。
あとで道端でその子とお母さんが歩いているのに出会って、ああいうピアノを弾いてみたいと思ったという話を聞いた。すごく気に入ってくれたみたいだった。嬉しかった。
音楽をやっていてこういう形で誰かの記憶に残れることは、なんて嬉しいんだろうと思った。
真夜中も、いつも飲んでるのとはまた違った感じでいつもの仲間とたくさん踊った。
今まで何度だってライブハウスやクラブに行って飽きるほど踊ってたけど、星空の下ほんとにいろんな年代のいろんな人が踊るのは、とても幸せ景色のパーティだった。
(またDJも腕のある人でほんとに気持ちよかった!)
もう内地の夏はすぎてしまったんだろうか?
延長戦のような夏がまだまだこの島では続いている。(同時に私の仕事も繁忙期からやや繁忙期の延長が…)
10月になったらまたあの愉快な人たちが来たり、2月に来てからずっと続けてた太鼓でも…イベントが…。(最近もっぱら頭の中がどんどこどんどこいってる)
世界中のどこで生きていても人間には幸運な日と不運な日があり、恵まれる日もあれば不遇だと思う日もある。
仕事というのはどこへ行っても仕事であり、どんな仕事だって、人が他人にお金を払ってやってもらいたいこと…なのでなかなか楽ではないこともある。人間は誰一人、血縁であったって同じではないので、心を通わすことがむつかしいこともある。
でもこの場所では、息の詰まるような日が来たりするときに、ここにあるでかい海やでかい空、それから風のにおい、鳥の声、それがふっと緩めてくれる。
それからまたみんなで日焼けしてから星を見ながら飲んで、ふっとまた新しい日に出会える。
このひと月のことを文字だけで書いたこの記事の最後に、昨日あったことを。
昨日、この島にきて最初の日からずっと一緒に仕事をした仲間が内地へ帰った。
今でも覚えてるのは、来た日にすぐ「もし用事なかったら飲みに行きます?」って言われたこと。だって、「用事あるわけないっしょ!」って笑っちゃったから。
それからたくさんのことを覚えなきゃいけない必死のとき、知り合いが誰もいなかったとき、猛烈に忙しい中二週間休めなかったとき、先輩がいなくなって心細くなったとき、後輩が増えて悩み多かったとき、ずっと一緒で、いつのまにかもう何も言わなくても息を合わせて仕事ができた唯一の存在だった。
ずっと私より年下だったけど、一緒でよかった、と思える私にとって職場最後の先輩がいなくなったのはかなりこたえた。
前の先輩が帰るときは結構2人とも泣いてたけど、なんだか今回泣かなかったのは、悲しくなかったからじゃない。
彼女が島でやりたかったこと、思い残すことなくやりきった、って言ってたから。
その旅立ちはとても希望に満ちてて、私は最近まで彼女が持ってたバトンをポンと渡されて「進まなきゃな」と思ったこと。
それと、また会いに行くって決めてるから。
この島でできた友達はきっとなにか特別なのである。
(これは携帯壊れてからもらったんだった!)