アサリの島流し紀行

東京・高円寺から貯金をするために小笠原諸島へ住み込みバイトに行ったバンドマンの日記。都会の超夜型ライブハウスマンが1000kmはなれた船でしかいけない島で人間に戻っていくドキュメントでもあります。Twitter→@asari309 asari official WEB→http://asariweb.net/

アサリの島流し 350日目 - 350日の今日

新しい仕事、新しいコミュニティ、新しい家、新しい毎日。
前とは違う日を過ごすのは簡単だ。
朝起きて、新しい今日は毎日やってくる。

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未来もすぐ過去になる。
当たり前にそばにいた人はいつのまにか思い出の棚に収まって、当たり前に流れた時間はまた、特別なものに戻っていく。

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昨夜の寒さは緩んで、冬がすり抜けるような朝。そういえば船を降りてから、もうひと月以上経ってる。

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枯れるほど泣いた母島からのゆり丸の後、本当はあと2晩父島にいるつもりだった。
あかしちゃんやヒロさんにも、シュウさんにもカイくんにだって会いたかったし、音を出したかったけど、冬の海がよく荒れることをすっかり忘れていた。

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出港が1日早まってたった一晩、母島にいた時たくさん遊んでくれた人や、前のおが丸以来仲良くなれた幾人かの人、それから忘れちゃならないBAR青灯台のマルさんともね。泣いた後の夜は水分が欲しくて、たくさん飲んだ。

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BAR青灯台への再訪は叶ったけど、今度はほんとに5月に閉店になるらしい。前より少し優しく色っぽくなった気がするマルさんと、未来の話なんかをした。

 

父島からの出港はかなり厳しい海況だった中、翌週に引き上げる(私が来るよりずっと昔、同じラメーフにいた)ツッチー先輩が飛び込んで見送ってくれた。出張のみなちゃんと一緒の船で、なんだか降りるまでまだ母島に戻らない実感がない。

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けれど船が竹芝に着く頃、放送でokeiさんの歌が流れて、私はもう一度だけ少し泣いた。

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東京はすごく速い。よく歩く。そして寒い。

すぐに新しい絆家での暮らしがはじまって、新しい友達とたくさん出会ったり、またいろんな友達と再会したりの日が続いた。

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島流しLIFEがはじまってから350日目の日。

 

その日は昨年旅立ち前にドキドキしながら行った小笠原dayがあった。
そして、私のホームだった高円寺club Mission's最後の営業日だった。

 

昼間は母島のスタッフとして、知ってる島のみんなが長い時間をかけて作った、海底熟成ラムの試飲案内をした。

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売り切れる程好評だったし、働いていた時に泊まってくれたお客さんに何人も再会する嬉しい時間だった。

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そこから急いで行った高円寺、ミッションズ最後の日をお客さんとして見守った。すべてのバンドに思い出があるような日で、そこに集う顔はみんな仲間ばかりだった。


そんな最後の日トリの演奏は雷怒音。私自身のバンドasariの演奏でサポートしてもらったり、送別会してもらったり、元々はミッションズのスタッフ同士だったりしたジャギーさんのバンド。

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そして雷怒音の計らいで…
ほぼ一文字違いのバンドで初めて対バンした数年前からたくさん一緒にやってきたa.s.a.nのギターあっくんと、私はミッションズ最後の一曲になった「沈まぬ太陽」を共に演奏した。

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島で過ごしたたくさんのこと、そして終わろうとしている高円寺ミッションズでの…数えきれない記憶を、ただ一曲に込めて一所懸命に歌った。

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ステージの上から見てた景色は、いつか母島のサンセットシアターから見た沈む夕陽みたいで、ミッションズのジャックダニエルフラッグの…時計あたりにいつまでも沈まない、そんな気がした。

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今日は春の様な生温い気温で、島のスコールみたいな雨とは違う傘が要らない小雨が降っている。


もうすぐ春が来て、島から子供達や転勤の先生、そしてクジラ達が旅立って…また水着で泳ぐ様な夏がすぐにやって来るだろう。

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島から帰ってきた今、このブログをもう終わるべきかと考えていた。

 

けれど私の毎日は家や仕事が変わっただけでなく、何かが少し変わった。

私の心の中には今も島の海や星空が生きていて、まだ私の「島流し」は終わらない。

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だから時々、毎日の隙間ふと浮かんだ時、心の中の母島のことを、島流しが変えてくれたことを、また書こうと思います。

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一年間、短く長い時間を一緒に過ごしてくれた母島・父島のみんな、読んでくれて一緒に島暮らししてくれたみんな、ほんとにありがとうございます。
そしてこれからも…よろしくお願いします。

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一生の友達だからね。
だからまだ、はじまったばかりじゃん!

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