アサリの島流し紀行

東京・高円寺から貯金をするために小笠原諸島へ住み込みバイトに行ったバンドマンの日記。都会の超夜型ライブハウスマンが1000kmはなれた船でしかいけない島で人間に戻っていくドキュメントでもあります。Twitter→@asari309 asari official WEB→http://asariweb.net/

2016-01-01から1年間の記事一覧

アサリの島流し 45日目 - もしもコンビニがなかったら

私の一番好きな歌の歌詞に”The night was dark. It was blackest that I've ever seen.”というのがありますが、母島の夜はまさにそれでした。その昔…は普通のことだったかもしれない。いまや日本全国津々浦々にあるであろうコンビニ。街に「もしもコンビニが…

アサリの島流し 34日目 - 船待ライブ

音楽がそこにある時、必ずパートが2つある。「聞く」パートと「奏でる」パートである。中には最近の私のような、聞くパート:私、奏でるパート:私、である時もある。何しろ何かを奏でる者と聞く者がいるのである。ずっとバンドマンの中にいると、奏でるパート…

アサリの島流し 31日目 - 白地図の色

31日目、3月9日は誕生日でした。見知らぬ土地に来て1カ月目。しかも見知らぬ島。まだ知らない人やことばかりだけど、良い天気の素晴らしい太陽が私にとって最高の日だった。おまけに日食!それだけで幸せと思ってた私に、思いもよらぬ1日は待っていた。今日…

アサリの島流し 28日目 - 森に吹く風

プロフィールは横顔という意味がある。昭和の小説やらでよく出てくるこの言葉使いはとても好きだ。言葉やらテーマイメージ通りのサウンドではなく、敢えて間反対の曲調の中に、強烈なメッセージが映える、ということが音楽にもあったりするのだけれども。こ…

アサリの島流し 21日目 - 何して遊ぶ?

時間というものは人にも、いや生物やすべてに平等にある。だけどその長さは違うと思う。だって時間の長さは測り方、感じ方によるから。 人間の子どもと老人では違うし、寿命数か月の虫と10年のヤモリ、何千年の木なんかじゃそれぞれに違うだろう。都会や田舎…

アサリの島流し 16日目 - 道のはじまりと終わり

点には始まりと終わりがないけど、閉じていない線には始点と終点がある。環状線のように輪になっていないすべての道路には始まりと終わりがある。前記事まで日付飛ばさずにタイトルつけようかと思ってましたが、あまり書けないこともあって追いつかないし、…

アサリの島流し 8・9日目 - 当たり前でないのが当たり前

島に来る半年ほど前からよく考えていたことがある。私はライブハウスの人だしバンドマンだけど、音楽をいろんな人に聞かせたいと思う、そのいろんなお客さんは、バンドマンじゃないしライブハウスの人でもない。だから、私の普通はもしかしたらお客さんの普…

アサリの島流し 6・7日目 - 海の真ん中の山

海岸線に沿って歩くと、海がキラキラしている。少し曇がかってはいたが人が少ないのも贅沢なくらい気持ちのいい風。島に来て初めてのおが丸が竹芝へ行き来している間、所謂「出港中」を迎えて、午後の仕事は初めてお休みをもらった。いつも通り前浜あたりを…

アサリの島流し 3~5日目 - シエスタのある1日

到着当日から有無を言わさず始まった私の住み込み労働生活であるが、初っ端から一番びっくりしたのは昼休みの長さである。 朝6時、目覚ましと同じくらいにふと目が覚めた。窓を開けるとまだ涼しくしゃんとした朝の空気に空がすこんと高く抜けている。鳥の声…

アサリの島流し 2日目 - 海のむこうの普通の街

(おがさわら丸25時間の旅 後編) 夢を見ていたから、すっかり家で寝てる気分だった。 目を覚ましてからしばらくぼーっとして、やっと船がものすごく揺れている事に気づいた。立ち上がってみるとシーソーの真ん中のあたりを行ったり来たりして立っているみたい…

アサリの島流し 1日目 - 太陽が神様っていうの、はっきりわかった。

(おがさわら丸25時間の旅 前編)よく晴れた2月5日の竹芝客船ターミナルは平年より少し暖かいけど、とはいえ真冬の東京。海風は肩をすくめるくらい冷たかった。乗船口で幾人か見送りにきてくれた人々と別れてからのことからはじめる。入口の係員に乗船券を渡す…