アサリの島流し 195日目 - 夕焼けとJAMMIN、そしてサラバ。 <嵐の父島その3>
嵐が去った。
私の心中でもようやく雨風が止んだので、3日目にしてようやくギターケースを開けた。
まだ風が強い昼時までは、すっかり仲良くなった皆と買い出ししてカレーを作る。
昨日はご馳走になった方が多かったから、生協と農協で手に入った材料でサラダ代わりに生春巻きを作ってお返し。
↑後で仲間が送ってくれた写真
珍しがってやたらに喜んでくれて、いつも仕事で料理を人に出してるくせになんか照れくさい。
外がようやく落ち着いたので、みんなあちこちへ出かけはじめる。私もギターを担いで前浜あたりで、母島の脇浜よろしくしばらく海に向かい歌う。
普段は穏やかな浜も、台風明けたばかりの今日は湘南の冬場みたいにざばざばしてる。
どこからともなくたくさんのサーファーが集まりだした。
普段も海の只中に暮らしてるけど、小笠原にはあまりサーフィン向きの場所がない。久々に芋洗いな浜を見て昔住んでた鵠沼海岸を思い出した。
とぼんやりしてたら…
遠くから何かリズムが聞こえてきた。
なんだろ…南米ぽいリズムだな…スチールパンかな…?
と、音の元をたどると…いつの間にか青灯台(本物の方)に…見覚えのある姿が…
あっ!
6月に飲みながらジャムったヒロさんだ!
その時のことはこちら→アサリの島流し 136日目 - 父島へ行くの巻 - アサリの島流し紀行
こりゃたまらん、とまだ15時だがビールを片手に眺めてたら…
いつの間にか参加して…
どんどん入れ替わり立ち替わり人が増え…
ビールがどこからともなく補給され…
すっかり出来上がった夕暮れ!
夕焼けと、終わらないセッションは最高だった。
ヒロさんのリズムも気持ちよくて
(あんまり良かったので現在、技を真似しようと奮闘中)
友達も出来て…子供らとも遊んで…
嵐の後にはこんなjammin'が待ってたなんて。
夕方、先に帰った友達から翌日臨時便が出るとの情報が。それなら、と一旦宿部屋帰って片付けてからもう一飲み行くことに。
帰るとなにやら魚をゲットした人がいたらしく、さばくのに皆困ってたから刺身だけ作って乾杯してから、出発。
(今回は本当に仕事の技術が役立った)
さっきのジャムで友達になった人と飲むべくヤンキータウンというBarへ向かう。
欧米系の人がやっているらしいお店はとてもアメリカンな感じでいいなあ!とカウンターに座ろうとすると…先客がもうひとり…いや一匹。
きちんと作ってくれるお酒もうまくて、途中から母島にも来てて仲良くなったドイツ人の旅人もばったり現れたり、なんだか不思議な良い夜だった。
(猫のシロさんとも終始一緒に飲むことになった)
3回目の夜が終わって朝が来ると、それはなんだかやけに長くて濃かった3泊4日の終わりが近づいていた。
同部屋の仲間より一足先に、しかも内地じゃなくて母島に逆戻りする私。みんな別れを惜しんでくれて、たった2夜だったのが信じられない気持ちだった。
おが丸の振替チケットに並ぶ友達を見て、私も一緒にまだ旅ができたらどれだけ楽しいだろう、とか少し考えた。
今夜も父島の友達とジャムって飲んだら楽しいだろうな、とかも考えた。
台風の只中にひとりぼっちで早く帰りたかったのが嘘みたいに、今度は帰るのがとても寂しい。
島民くらいしか乗らない臨時便に見送りは他にない中、私の部屋の仲間が「島の見送りのやり方わからないけど…見送りたい!」と一緒に来てくれた。 乗り込んでデッキに出ると、一番若いポカちゃんの「こっち見ててください!」という大きな声。
人文字で
「サラバ♡」
その後、どうしたらいいか持て余しながらも考えて、なぜかラジオ体操をする仲間達 笑
友達ができたんだな、って思った。
なんだよ、なのにもうお別れなんて。
必ずまた、会いにいくからね。
あとで母島から同じおが丸乗る子へ、私の友達へ託したメッセージ。届いたらしくてよかった。
すでにアクティビティある中、遠くから見守ってくれて写真送ってくれた仲間もいた。
↑リアルにこれの中にいました
船が出ると、さすが台風明けたばかりの海はファンキーな縦揺れ。私は酔い止めのアネロン飲んでたからぐっすり眠るうちに母島へ到着。
ああ、帰ってきちゃった…
ややブルーになりつつ、電波と同時に入った仕事の連絡に返信しながら下船の支度してデッキにでると…
「アサリちゃーん!!」
と聞き覚えのあるでかい声が…笑
おかえりー!!
と、この旅の最初は一緒で一足先に帰還してた友達と、職場の同僚や…
母島の…すっかりいつもの顔が並んでる。
父島に比べたらほんと、やっぱりこじんまりしてるな!と、私はすっかり笑っちゃって、恥ずかしながら帰ってまいりました、のように船を降りた。
やっと帰ってこれたー!ただいまー!
ってね。
その瞬間、ふと、嵐の父島はなんだかんだ…ほんと素敵な想い出になったなあ!と、もっかい思い出し笑いした。
(父島の旅、やっと、おしまい)